ちょっとそこまでの世界

ちょっとそこまでの世界(私の周り)について

自治体の課題は山積み。変化していくしかない。

自治体の課題は山積みです。この本はそんな課題がたくさん紹介され、そして筆者の改題解決への考えを紹介しているものです。ここに解決への答えが書いてあるわけではなく、あくまでも「こういう考えがある」ということを知り、自分たちの自治体なりの答えを探るきっかけになるものかと思います。

『2040年 自治体の未来はこう変わる!』(学陽書房 今井照)

●「未来の自治体を考えるためには、人口減少だけではなく、人口構造の変化という側面から、地域社会と市民生活の変化を見ていくことも欠かせません。」「高齢者の絶対数が増加することに伴う政策、たとえば介護サービスの量そのものは、あと 10 年を見据えればよい ということです。」

 数字を見る自治体の人が陥りやすいところかと思います。自治体はどうしてもお金やいま現状の数字に目が行きがちです。それはたぶん市民の「今目の前にある」要望に答えるために、そうせざるを得ない状況があるからだと思います。でも、ある政策を打ち出すとき、「今」と「将来」を見据えた計画にしなければいけないと感じます。目の前の高齢者対策ばかりを追い求めた結果、高齢者が上限に達して減少してきたとき、その有り余る施設や資源はどうすればいいのか。そういった意味で長期的な視点も取り入れていかなければいけないと思いました。

●「ここで目指すべきなのは、誰が見てもよく働いている人と、誰が見ても働いていない人を示すこと です。総務省の資料によれば「全体の約 90%がB評価(標準) になって」いることが問題であるかのように書いてありますが、むしろこのことは自然だと考えるべきです。」

 人事評価に対しての言葉ですが、私の自治体でもみんな標準になるように業績評価を書いています。何なら毎年同じ評価内容をコピペするという現実も・・・。これは公務員の「普通」を目指す特性がよく現れていますね、抜きん出ることもなく標準であることが美徳というような。だから公務員で人事評価制度を取り入れても何の意味もないと私は思います。むしろ集計業務が増えるだけ。「明らかによく働く人」と「そうでない人」を上司が見極めて面談すべきだと思います。上司の人事マネジメントが公正な人事評価よりも求められるものだと考えます。

●「政策とは将来を予測し、そこで起こるだろう課題について、あらかじめ対策を講じておくこと」「完全に将来を予測することはできない。したがって、将来予測を前提とする政策には、必ず複数のシナリオがあります。」

 役所には柔軟性が欠けると言われるのは、こういうことができないためですかね。不測の事態が起こったとき、すぐに方向転換の鍛冶を切れることも今後大事になってくると思います。時代がこれまで以上のスピードで変化しくだろうから。

●「まちづくりに取り組もうとする人たちは、どの地域にもある程度いるにもかかわらず、議員になって自治体の政治に関わろうと考える人たちは少ない。」「ギャップの第一は、まちづくりの課題と議会で議論されている課題がリンクしていないということです。」

 議会のなり手不足は深刻です。なり手不足もそうですが、古い考えをもった人たちばかりで形成された議会では、新しい考えは生まれにくいでしょう。そして議会は形骸化しています。事前に質問をするための勉強会を開き、質問をひねり出し、質問をして答えることに意味があるかのような議会。そんな議会に魅力を感じて「我こそは」という人が現れるわけがありません。形式を重んじることは大事ですが、せめて一部分でいいから、市民の生活未密着した答弁をしていただきたいと市民としては思います。職員の立場で言えば、生活に密着した答弁はクレームにつながりそうなので平穏無事な議会答弁を望みたくなりますが・・・。そういうところが、本書で言うギャップが埋まらない原因かも知れません。

職員は日々の事務に忙殺されています。私もその一人ですが、異動した先々で自治体の問題を1つでも多く解決する、そんな生産的な仕事をしたいと思います。